
こんにちは、株式会社ゆしのけデザインの渡邉です。
突然ですが、みなさんのオフィスの机の上、散らかっていませんか? あるいは、PCのデスクトップ画面が「新しいフォルダ(2)」や「名称未設定.jpg」で埋め尽くされていませんか?
実は、デザインの仕事を長く続けていて確信していることが一つあります。 それは、「デザインとは、整理整頓そのものである」ということです。
世の中の多くの人は、デザインという言葉を聞くと、「色を塗ること」「絵を描くこと」「かっこよく飾り付けること」だと思っています。 お客様からもよく言われます。「もっとオシャレにして」「もっとインパクトを出して」と。
しかし、それはデザインの表面的な「仕上げ」の部分に過ぎません。 デザインの本当の役割は、「情報を整理し、目的のために最適な場所に配置すること」。
これ、実はみなさんが普段仕事で行っている「机の整理」や「タスク管理」と全く同じ脳の使い方をするんです。
今日は、少し視点を変えて、「なぜデザインは整理整頓なのか」「なぜ目的によって配置が変わるのか」という、デザインの根幹にあるロジックについて。
これを読み終える頃には、あなたの「デザイン」に対する見方が、ガラリと変わっているはずです。
第1章:デザインとは「引き算」の美学
散らかった机では、良い仕事はできない
想像してみてください。 書類が山積みで、飲みかけのペットボトルが転がり、必要なボールペンを探すのに3分かかる机。 そんな環境で、最高のパフォーマンスが出せるでしょうか?
無理ですよね。 「あれ、どこ行ったっけ?」と探す時間は無駄ですし、視界に余計な情報が入ってくると集中力が削がれます。
実は「悪いデザインのチラシ」や「使いにくいホームページ」は、この「散らかった机」と同じ状態なんです。
- 言いたいことが山盛りで、どこを読めばいいかわからない。
- 一番大事な「電話番号」が、装飾に埋もれて見つからない。
- 色使いが派手すぎて、目が疲れる。
これは、デザイナーが「絵を描くこと」に夢中になって、「情報を整理すること」をサボった結果です。
「整理(Seiri)」と「整頓(Seiton)」の違い
工場や現場の管理でよく使われる「5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)」という言葉がありますよね。 デザインにおいても、この「整理」と「整頓」の違いを理解することが決定的に重要です。
- 整理(Seiri): 必要なものと不要なものを分け、不要なものを捨てること。
- 整頓(Seiton): 必要なものを、使いやすい場所に配置すること。
デザインが苦手な人が陥る最大の罠は、「整理(捨てること)」をせずに、いきなり「整頓(並べること)」を始めようとする点にあります。
「あれも伝えたい、これも伝えたい」 「社長の挨拶も入れたいし、地図も大きくしたいし、新商品のスペックも全部載せたい」
そうやって情報を全部詰め込んだまま、どれだけ綺麗に並べようとしても、それは「ゴミ屋敷の中でテトリスをしている」ようなものです。絶対に美しくなりません。
まずやるべきは、捨てること。 「一番伝えたいことは何か?」を決め、それ以外を勇気を持って削ぎ落とす。 この「引き算」こそが、デザインの第一歩なのです。
第2章:机の上のレイアウトは「目的」で変わる
経理担当の机 vs 漫画家の机
「整理整頓」と言っても、正解は一つではありません。 ここで、「机の上のレイアウト」を例に考えてみましょう。
【Aさんの机:経理担当】
- 目的: 正確な計算と書類作成。
- 配置: 右手には電卓とテンキー。左手には領収書の束。モニターにはエクセル。余計なものは一切置かない。
- デザインの特徴: 機能的、整然、グリッド(格子状)、シンプル、白黒ベース。
【Bさんの机:漫画家】
- 目的: 想像力を広げ、絵を描くこと。
- 配置: 色とりどりのコピック(ペン)、参考資料の写真集、好きなフィギュア、描きかけの原稿用紙。
- デザインの特徴: 賑やか、カラフル、有機的、刺激的、カオスの中に秩序がある。
この2人の机を入れ替えたらどうなるでしょうか? 経理担当が、フィギュアだらけの机で決算処理をしたらミスが増えるでしょう。 漫画家が、何もない無機質な机に座らされたら、アイデアが枯渇してしまうかもしれません。
つまり、「何をするための場所か(目的)」が決まらないと、「どこに何を置くか(レイアウト)」は決まらないのです。
チラシデザインも全く同じ
これをデザインの話に戻しましょう。 チラシやWebサイトを作る時も、全く同じことが言えます。
【ケース1:スーパーの特売チラシ】
- 目的: 1円でも安いことを伝え、主婦を店に走らせる。
- レイアウト: 商品写真と価格(数字)を限界まで詰め込む。「赤」や「黄色」の派手な色使い。余白なんていらない。
- 正解: 賑やかで、情報の密度が高いこと(=お得感)。
【ケース2:高級ホテルのパンフレット】
- 目的: 非日常の癒やしと、プレミアムな時間を想像させる。
- レイアウト: 写真を大きく1枚だけ使う。文字は極限まで小さく、少なく。たっぷりと余白を取る。
- 正解: 静寂で、情報が少ないこと(=ラグジュアリー感)。
もし、高級ホテルのチラシを、スーパーのチラシのように「文字詰め込みまくり」で作ったらどうなるでしょう? 「安っぽいホテルだな…」と思われて、富裕層は来てくれません。
逆に、スーパーのチラシを、高級ホテルのようにスカスカのおしゃれデザインにしたら? 「高そうだから行くのやめよう」と思われて、主婦は来てくれません。
「おしゃれ」が常に正義ではない。 これが、デザインの面白いところであり、難しいところです。 すべては「目的(ゴール)」から逆算された「機能美」でなければならないのです。
第3章:視線の動きを操る「優先順位」のマジック
机の上で、一番よく使うボールペンを、一番取り出しにくい引き出しの奥底に入れる人はいませんよね? 一番使うものは、利き手のすぐそばに置くはずです。
デザインの世界でも、この「優先順位の配置」が命です。 私たちは、お客様の視線を意図的にコントロールしています。
人間は「Z」の文字でモノを見る
横書きの文書を見る時、人間の視線は無意識に「左上 → 右上 → 左下 → 右下」と動きます。アルファベットの「Z」の形です。
だから、一番重要な情報(キャッチコピーや重要な画像)は「左上」に置くのがセオリーです。 そして、最終的なゴール(お問い合わせ電話番号や、申込みボタン)は、視線の終着点である「右下」に配置します。
これが「デザインの文法」です。
「ジャンプ率」で重要度を叫ぶ
もう一つ、重要なテクニックがあります。「ジャンプ率」です。
これは、一番大きい文字と、一番小さい文字の「サイズ比率」のことです。
- ジャンプ率が低い(文字サイズが全部同じくらい): 辞書や契約書のような、落ち着いた、信頼感のある印象。でも、どこが重要かわかりにくい。
- ジャンプ率が高い(巨大な文字と、小さな文字): 週刊誌の中吊り広告や、スポーツ新聞のような、衝撃的で元気な印象。「ここを見て!」という叫びが伝わる。
整理整頓が上手な人の机は、この「ジャンプ率」がついている状態と言えます。 「今すぐやる書類」はデスクの中央にドカンと広げ、「来月でいい書類」は端っこに重ねておく。
デザインにおいては、 「伝えたいことを、勇気を持ってデカくする」 「そうでない情報は、勇気を持って小さくする」 このメリハリをつけることが、情報の整理整頓そのものなのです。
第4章:なぜ、素人のデザインは「散らかる」のか?
今はCanvaなどの便利なツールがあるので、誰でも簡単にデザインが作れるようになりました。 しかし、プロが見ると「あ、これは素人さんが作ったな」と、わかります。
なぜだと思いますか? 画像が粗いから? フォントがダサいから? 違います。
最大の理由は、「情報の迷子」が起きているからです。
1. 全部を目立たせようとして自滅する
素人デザインの典型例が、「全部赤文字、全部太字」です。 「日付も大事、場所も大事、金額も大事、注意事項も読んでほしい…」 その親切心が仇となり、結果として「どこも目立っていない」状態になります。
蛍光ペンで教科書を全部塗ったら、どこが重要かわからなくなりますよね? あれと同じです。
2. 「整列」ができていない
机の上で、書類の端が揃っていないと気持ち悪いですよね。 デザインでも、 「見出しの左端が微妙にズレている」 「写真の間隔がバラバラ」 これだけで、人間の脳は「ノイズ」を感じ取り、「なんか読みづらいな」「信頼できなそうだな」と判断してしまいます。
プロのデザイナーは、0.1ミリ単位で「見えない線(グリッド)」を意識して、情報を整列させています。 この「揃える」という執念が、最終的なクオリティの差、信頼感の差になって現れます。
第5章:ゆしのけデザインが提供するのは「思考の整理」
長々と語ってきましたが、結局私が言いたいのはこれです。 「私たちデザイナーに依頼する価値は、絵を描いてもらうことではなく、頭の中を整理してもらうことにある」
お客様は、ご自身のビジネスに情熱を持っています。 だからこそ、伝えたいことが溢れすぎて、頭の中が散らかった机の状態になっていることが多いのです。
「あれも良い、これも良い、どうしよう!」
そんな時、私たちゆしのけデザインは、まずお客様の「脳内の整理整頓」から始めます。
- 「社長、一番売りたいのはどれですか?」
- 「ターゲットは、この情報を知りたいと思いますか?」
- 「この文章、思い切って捨てましょう」
そうやって、散らかった情報を整理し(Seiri)、 目的に合わせて最適な場所に並べ替え(Seiton)、 最後に少しだけ、プロの技術で「彩り」を添える。
それが、結果が出るチラシ、売れるホームページの正体です。
机の上が片付けば、仕事は速くなる
デザインが整うということは、ビジネスの動線が整うということです。
- お客様が、迷わずに商品の魅力を理解できる。
- お客様が、ストレスなく注文ボタンを押せる。
- 営業マンが、説明しなくてもチラシを見せるだけで伝わる。
デザインという名の「整理整頓」を行うことで、ビジネスのスピードは劇的に加速します。
もし今、あなたの会社のチラシやWebサイトを見て、 「なんかゴチャゴチャしてるな…」 「何を伝えたいのか、一言で言えないな…」 と感じたなら、それは「情報の整理」が必要なサインかもしれません。
そんな時は、ぜひ袖ケ浦の「整理整頓係」、ゆしのけデザインにご相談ください。 散らかった机を片付けるように、あなたの会社の情報をスッキリとデザインさせていただきます。
見た目が綺麗になるだけでなく、 「あ、私たちがやりたかったのは、こういうことだったんだ!」 と、ビジネスの目的自体もクリアになるはずです。
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。 それでは、まずはご自身の机の上を片付けるところから始めてみましょうか(笑)
