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色々な人が言うことの「本筋」を理解するというデザイン

色々な人が言うことの「本筋」を理解するというデザイン

色々な人から色々な意見をいただきます。

「もっと目立たせたい」

「少し高級感がほしい」

「若い人にも見てもらいたい」

「親しみやすくしてほしい」

「この文字を大きくした方がいいんじゃないか」

同じ制作物について話していても、意見は人によって違います。

すべての意見をそのまま反映しようとすると、文字は大きくなり、色は増え、情報も増えます。

そして最後には、何を伝えたいのか分からないデザインになってしまうことがあります。

だからこそ、デザインには、言われたことをそのまま形にするだけではなく、その言葉の奥にある本筋を理解することが必要だと思っています。

「赤くしてほしい」が本当の要望とは限らない

たとえば、お客様から、

「ここを赤くしてください」

と言われたとします。

もちろん、本当に赤色を使いたい場合もあります。

ただ、話をよく聞いてみると、本当に求めているのは赤色ではなく、

「この情報を一番目立たせたい」

ということかもしれません。

目立たせる方法は、色を赤くすることだけではありません。

文字を大きくする。

周囲に余白をつくる。

配置を変える。

ほかの色を抑える。

情報の順番を見直す。

こうした方法でも、十分に目立たせることができます。

「赤くしてほしい」という言葉だけを見るのではなく、なぜ赤くしたいのかを考える。

そこに、デザインの仕事があります。

意見が違っても、目指している先は同じことがある

一つの企画に多くの人が関わると、意見が分かれることがあります。

ある人は、

「もっとにぎやかにしたい」

と言います。

別の人は、

「落ち着いた雰囲気にしたい」

と言います。

一見すると、反対の意見に見えます。

しかし、話を聞いていくと、どちらも、

「多くの人に安心して参加してほしい」

と考えていることがあります。

にぎやかにしたい人は、楽しそうな印象を伝えたい。

落ち着かせたい人は、雑然とした印象を避けたい。

表現の希望は違っていても、目指しているところは同じです。

その共通する目的を見つけることができれば、

楽しさは伝わるけれど、情報は整理されている。

明るいけれど、子どもっぽく見えない。

そんな形にまとめることができます。

全員の意見を入れることが、良いデザインではない

会議で出た意見をすべて入れれば、全員が納得するように思えるかもしれません。

しかし、実際には情報が多くなりすぎて、見る人に伝わらなくなることがあります。

デザインは、意見の数を競うものではありません。

誰に、何を、どの順番で伝えるかを整理するものです。

必要なのは、意見を削ることではなく、意見を整理することです。

この意見は、何を心配しているのか。

この要望は、誰に向けたものなのか。

今回の目的に、本当に必要なのか。

同じことを別の言い方で話していないか。

一つずつ整理していくと、バラバラに見えていた意見の中から、共通する一本の軸が見えてきます。

その軸が、デザインの本筋になります。

言葉になっていない部分を読み取る

お客様が、最初から自分の希望を正確に説明できるとは限りません。

それは当然のことだと思います。

デザインを依頼する機会は、日常の中でそれほど多くありません。

どんな言葉で伝えればよいか分からない。

頭の中にはイメージがあるけれど、うまく説明できない。

参考画像を見せても、どこが好きなのかまでは言葉にできない。

そうしたことは、よくあります。

だから私たちは、言葉だけで判断しないようにしています。

なぜ、その参考デザインを選んだのか。

色が好きなのか。

写真の雰囲気なのか。

文字の強さなのか。

余白の取り方なのか。

会話を重ねながら、まだ言葉になっていない希望を探していきます。

デザインは、話を聞くところから始まる

デザインというと、パソコンに向かって色や形を整える仕事に見えるかもしれません。

しかし実際には、その前の時間がとても大切です。

話を聞く。

目的を確認する。

意見を整理する。

伝える相手を考える。

優先順位を決める。

この工程が曖昧なままでは、どれだけ見た目を整えても、目的に合ったデザインにはなりません。

反対に、本筋がしっかり見えていれば、色や形を選ぶ理由も明確になります。

「なんとなく格好いいから」ではなく、

「この人に、こう感じてもらうため」

という基準で判断できるようになります。

本筋が分かると、修正にも迷いがなくなる

制作の途中では、修正が入ることがあります。

修正そのものが悪いわけではありません。

実際に形になったものを見て、初めて気づくこともあります。

ただ、本筋が決まっていない状態で修正を重ねると、最初の目的から少しずつ離れてしまいます。

文字を大きくする。

色を増やす。

写真を追加する。

説明文を足す。

一つひとつは小さな変更でも、積み重なると全体のバランスが崩れます。

そんなときに戻る場所が、本筋です。

今回、一番伝えたいことは何か。

誰に見てもらいたいのか。

見た人に、次にどんな行動をしてほしいのか。

そこへ戻れば、必要な修正と、入れなくてもよい修正を判断しやすくなります。

まとめることも、デザインの一部

色々な人の意見を聞くことは、とても大切です。

現場を知っている人。

お客様と接している人。

運営する人。

実際に使う人。

それぞれにしか見えていないことがあります。

ただし、それをそのまま並べるだけでは、伝わる形にはなりません。

意見の違いを整理し、その中にある共通の目的を見つける。

言葉の表面だけではなく、その奥にある理由を考える。

そして、見る人に伝わる一つの形へまとめる。

それも、デザインの大切な役割です。

色や形を整える前に、まず本筋を理解する。

そこからデザインを始めたいと考えています。