先日の木更津花火大会を見ていて、あらためて思ったことがありました。
花火は、ただ夜空を明るくするものではないのだな、ということです。
光が上がると、今まで暗かった景色が一瞬で変わります。
海辺の輪郭も、人の顔も、空の広さも、同じ場所なのに別の景色になる。
しかも、花火は光だけではありません。
あの音があるから、その場の空気ごと変わるのだと思います。
胸に響くような低い音。
少し遅れて届く振動。
それによって、その場にいる人たちの意識が、同じ方向へ向いていく。
景色が変わる。
空気が変わる。
場が変わる。
それが、花火のすごさなのだと思いました。
デザインも、本当はそういうものであってほしいです。
見た目を整えるだけではなく、
その場の感じ方を変えるもの。
ポスターを見たときに、少し背筋が伸びる。
看板を見たときに、その店の空気が伝わる。
ホームページを開いたときに、この人たちはちゃんとしていそうだ、と感じる。
イベントの告知を見たときに、ただ情報が分かるだけでなく、行ってみたい空気まで伝わる。
そういう変化は、数字だけでは測りにくいです。
でも、確かに人の感覚を動かしています。
デザインの役割は、目立たせることだけではないと思っています。
もちろん、見つけてもらうことも大事です。
でもその先に、どう感じてもらうかがある。
きれいに見せる。
分かりやすく伝える。
それも大切です。
けれど、それだけで終わらずに、
その場の温度や空気まで少し変えられるようなものをつくれたら、
デザインはもっと強いものになる気がします。
花火を見ていると、
人は光を見ているようで、実は空間ごと体験しているのだと思います。
それは、デザインにも似ています。
ロゴひとつ。
色ひとつ。
言葉ひとつ。
写真の選び方ひとつ。
そういう細かな要素の積み重ねが、
最終的には「この会社の空気」や「この場所の雰囲気」になっていく。
だからこそ、私たちがつくりたいのは、
ただ形が整ったものではなく、
景色を変え、空気を変え、場の感じ方まで変えていくようなデザインです。
花火のように、一瞬で人の目を奪う派手さがなくてもいい。
けれど、見たあとに何かが少し変わっている。
その場所の見え方が変わっている。
その人の気持ちの向きが変わっている。
そんな仕事がしたいと思います。
デザインで変えたいのは、見た目だけではありません。
その場所に流れる空気ごと、少し前へ動かすことです。
