「違和感」を消した瞬間、そのデザインは死ぬ。

「とにかく、シンプルで洗練された感じにしてください」 「この、ちょっと変な部分は削って、きれいに整えてください」

デザインの現場で、最も多く聞くオーダーの一つです。 もちろん、情報を整理するのは私たちの仕事です。

しかし、

「整える」ことと、「個性を消す」ことは違います。 多くの人は、ノイズ(雑味)を消してツルツルに磨き上げれば、良いデザインになると信じています。

ですが、 完全に整ってしまったデザインは、空気と同じです。 誰にも嫌われませんが、誰の記憶にも残りません。

今日は、あえて「ノイズ」を残すことの重要性について。

人は「ひっかかり」がないと、スルーする

想像してみてください。 モデルルームのように、塵一つなく完璧に整頓された部屋。 美しいですが、そこに「人の体温」は感じませんよね。

一方で、誰かが長年使い込んだ革のソファがあったり、旅先で拾った変な置物が置いてあったり。 そういう「ノイズ(違和感)」がある空間の方が、妙に落ち着いたり、記憶に残ったりしませんか?

デザインも同じです。 レイアウトをグリッド通りに整え、流行りのフォントを使い、当たり障りのない写真を配置する。 そうやって「違和感」を徹底的に排除して出来上がったものは、 「どこかで見たことがある、誰のものでもないデザイン」 になります。

私たちはそれを「量産型」と呼びます。

「欠点」こそが、最強のフックになる

私がデザインをする時、一番大切にしているのは、クライアントの「アク(灰汁)」です。

・社長の口癖がちょっと荒っぽい ・商品のパッケージが妙に泥臭い ・創業の経緯が、常識外れで変だ

普通なら「これ、隠しましょうか」と言うかもしれません。 私は逆です。「これ、もっと出しませんか?」と提案します。

なぜなら、その「アク」や「違和感」こそが、他社には絶対に真似できない「その会社だけの指紋」だからです。

嫌われる勇気が、熱狂を生む

「違和感」を残すということは、一部の人には「なんか変だ」と思われるリスクがあります。 でも、それでいいんです。

100人全員に「いいね」と言われるデザインは、誰の心にも深く刺さりません。 一方で、10人が「なんだこれ?」と眉をひそめても、たった1人が「これこそが私が探していたものだ!」と熱狂してくれれば、ビジネスは勝ちです。

尖った部分は、削るのではなく、武器にするんです。

あなたの「ノイズ」を、売ります

もし、ご自身の会社や商品に 「ちょっと変だけど、どうしても捨てられないこだわり」 「業界の常識からは外れているけど、大切にしていること」 があるなら、ぜひそれを教えてください。

私はそれを隠しません。 むしろ、その「ノイズ」を最大限に美しくデザインし、最強の武器に。


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